らいすと・ぶれいくたいむっ!


ぴんぽんぱんぽーん♪

教えてっ! リニスせんせーっ!!

そんな感じでこの話には『LIGHTNING STRIKERS』のネタバレが多量に含まれておりますよー。
その癖、本編の雰囲気を著しくブチ壊しにしている節があって、ホントに誰に向かって作ってるんですかね?
まぁ、なにはともあれ、はじまりはじまりー。

 ●

「――れす。起きるのれす、ご主人たま」
「ん、え、あれ? ここは……」

 誰かに揺り動かされる感覚に、目覚めてみると、ボクは何もない部屋にいた。
 どこまでも真っ白で、どこまでも果てのない空間。

 なぜか年代もののブラウン管テレビが転がっていたけれど、なぜかボクの中の本能が「あれはダメ! あれはもうちょっと後で使うキーアイテムだから!」と叫んでいたので努めて触れないことにした。

「起きたれすか、ご主人たま」

 ふと、幼い声で呼びかけられる。弾むようなその声に釣られるように視線を巡らせれば、そこには半裸の少女がいた。
 いや、むしろここは幼女と呼ぶべきか。
 燃えるような長い赤毛に、素肌の上から申し訳ない程度に太いエナメル質の黒いベルトをまるで拘束具のように巻きつけた――幼女がいた。
 犯罪の、匂いがした。

「うわあああああああ、ボクは何も見てない、何もやっていない、アイツみたいな特殊性癖持ちでもないぃぃぃ!?」
「何を慌ててるれすか、ご主人たま?」
「え? ご主人さま? 違う、うん、違うよボクは。そんな呼ばれたら即人生アウトな二人称の人間、ボクは寡聞にしてご存知ないんだけども!」
「にゃ!? そ、そんなヒドいれす……ご主人たまはハルに「ふふふ、オマエのすべてを見せて貰うぜ」って優しく囁いてくれたり、太くて熱いのを何度も何度も出し入れしたれすのに、そんな今更トボけるだなんて!!」
「うわあああああああああっっ!?」

 なんだ!? なんだこの娘は!?
 あれか? ここ最近の規制にかこつけてボクを亡き者にしようとする政府の策略か!?
 そんなにもボクを犯罪者に仕立て上げたいのかこの世界は!?
 いやまぁ、既にボクは犯罪者なんだけども、それでも性犯罪者になったつもりはない。

「ええと、よし。まずは落ち着こう。ええと、多分キミが言ってるのはホラ、ボクと似た顔をしているけど、金髪執務官とピンク髪の女の子の間でフラフラしてるどうしようもない優柔不断で朴念仁なフラグ建築士の事だよ。うん。それ別人別人」

 とりあえず、アイツにすべての罪を被せる事にした。ほら、そういうのはアイツの専売特許じゃないか、うん。

「違うれす! ハルはご主人たまの事を間違えたりしません。ご主人たまは間違いなくハルのご主人たまです!」
「いや、そのボクは本当にその、身に覚えが無いんだけれども」
「うきー!? まだトボけるれすか!」

 判りやすく怒ったかと思うと、自信ありげな表情を浮かべ恐ろしく平らな胸を誇らしげに叩く幼女。
 いや、別に胸が平たいことはどうでもいいんだけど。

「ハルはご主人たまの頼りになるデバイス、ハルベルトれすよ!」
「…………は?」
「いえ、れすから、ご主人たまの愛しくて可愛いらしい愛機なのれすよ」

 愛、って三回もいう幼女。どう贔屓目に見ても危険因子だよコレ。
 確かに赤と黒のイメージカラーはハルベルトに似てなくも無いのだが。

「そう、言うなればハルはハルベルトの中の人れす!」
「それ、意味が違ってこない?」
「ちなみにハルベルトの中の人は優秀れすから、英語もぺらぺらなのれす」
「えっと……じゃあなんか英語喋ってみてよ」
「え、えっと、あ、あいあむきりんぐまっしーんっ!」

 思いっきりひらがな音声だった。
 てーか物騒な事を言い出した。

「解った。解ったよ。とりあえず君がハルベルトだとして。なんで人型になってるの? と言うかその前にココどこ?」

 とりあえず周囲を見回してみると、どこまでも果ての無い真っ白な空間が続いている。
 アレだ。精神と時の部屋って言えば想像しやすいだろうか。

「なんでご主人たまはドラ○ンボールを知ってるれすか?」
「うん……あれ?」

 なんでだろう?

「まぁ、それはともかく。ここはご主人たまの精神の内側にある夢の世界なのれす。そして私はハルベルトの精! ご主人たまの危機に馳せ参じたのれす!」
「中の人じゃねえのかよ」

 いやまぁ、似たようなものなのかもしれないけれども。

「にしても危機って何さ? ん……あれ? そう言えばボクなんか凄く強いベルカ騎士に襲われてたような……?」
「違うれす! あんなおっぱい魔人、ボクの敵じゃないのれす!」

 おっぱい魔人って。
 いや、確かにまぁ特徴を捉えているけれども。

「ハルが危険だと言ってるのは、あのネコミミ女のことなのれす!」
「………………」

 うん、確かにアレは色んな意味で危険だとは思うけどさぁ。

「いやまぁ、アレは確かに扱いづらいけどさぁ。そこまで危険視するようなヤツじゃないような……一応味方だし」
「ご主人たまは騙されてるのれす! あのネコミミはヤバヤバなのれす!」

 涙目で訴える幼女――って、幼女幼女連呼してるとボクの方がヤバヤバになりそうだから、とりあえず――ハル。
 それにしてもあの使い魔、デバイスにも危険視されるってどんなレベルの危険人物なんだよ。

「にしても、ヤバいって具体的に言うとどんなヤバさなの?」
「あのネコミミ女が傍にいるとご主人たまはきっとすぐにでも篭絡される事間違いないのれす」
「ぶっ!?」

 噴いた。

「いや、待って……篭絡って、何さ?」
「あのアマぁ。ネコミミなんぞあざといアイテムで獣属性持ちのご主人たまの気を惹こうとしやがって、まるで油断ならねぇヤツなのれす」
「キャラ変わってない? ねぇ、キャラ変わってない?」

 怖いよ、この娘。
 てか、別にボクは獣属性じゃない。

「だいたい、あんな口喧しいのボクの趣味でもなんでもないし、んな篭絡なんてされるわけが――」
「うがぁー! ご主人たまのパカァッ!」

 殴られた。
 グーパンチで頬を。親父にも殴られたこと無いのに(ブラックジョーク)

「ご主人たまがそうやって軟弱な気持ちのままだからあんなネコミミ女につけ込まれるんれすよ!」

 なんか殴られたうえに、すっげぇ理不尽なこと言われてないかボク。

「いいれすか。ご主人たまはただでさえ騙されやすい性格をしているのれす。気をしっかり持たないとあの性悪ネコミミどころか胡散臭いオッサンにまで騙されるれすよ」
「おいおい、あんまりボクを侮ってもらっちゃ困るな。幾らボクだってそんな明らかに胡散臭いオッサンに騙されるほど落ちぶれてないよ」
「…………」

 なぜか、憐れみの視線で見詰められた。

「まぁ、それはどうでもいいれす。今はそんな事よりもあのネコミミ女の方が重要れす」
「いやに敵視するね。そんなに気に入らないの?」
「ふん、ネコミミなんていう、あんなすでに時代遅れとも言えるような旧世代の萌えにすがり付いているような輩に負けるわけにはいかないのれす」

 半裸幼女は旧世代の萌えじゃないのだろうか。いまのトレンドなんだろうか。よく解らない。

「ハルだって語尾を“れす”にして、ようやくキャラ立てしてるんれす」
「それキャラ作りだったの!? なんか痛々しいから止めようよ!?」
「ビジュアルの無いオリジナルキャラは語尾で特徴立てないとすぐに忘れ去られるんれすよ!」
「性格で勝負しようよ、性格で」
「ここの作者にそんな実力があるわけないのれす! 小手先の技術でしか生き残れないようなやつなのれす!」

 うるせえ。

「え、あれ今のボクじゃないよ! なんか混線した!? てか、いい加減そういうメタ的発言止めようよ!?」
「ふぅー、ふぅー……そうれすね。今は役立たずを責めるより前に、どうすればあのネコミミを亡き者にできるかの相談れしたね」
「さらっとトンデモないこと言うよね、君」
「何を他人事みたいな事言ってるれすか、このままじゃご主人たま捕食人生まっしぐられすよ! ネコまっしぐられす!」
「誰が上手い事を言えと」
「くっ……あんなネコミミにご主人たまを奪われるぐらいなら」

 言いながら腰ダメに油性マジックで「はるべると」と名づけられた出刃包丁を構えるハル――って出刃包丁!?

「ご主人たま。私と一緒に死んでくださいれす!」
「ちょ、ちょっと待てぇー!?」
「死んだりゃああああああああああっっ!!」


 キャラ付け忘れてんじゃねえー!?


 ●

「ほーら、いつまで寝てるんですか。さっさと起きて下さいよー」

LIGHTNING STRIKERS : BREAK 01-05 へ続く



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