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お題にそってショート・ショートを書こう企画!

メッセで脳汁全開中に始まってしまったこの企画。

そんなわけで『魂の奥底から叫んでみよう!』のコンさんと共同でお送りいたします。

僕とコンさんで同じお題にそってSSを書くよ!

自分で自分の首を絞めてる気分だよ。

そんなわけで、それぞれお楽しみください。


お題SS大会SP特別会場 !


●第1回 「エリオとキャロ」 「雨のある風景」

●第2回 「スバルとティアナ」 「お古のスカート」

●第3回 「なのはとはやて」 「七夕」

●第4回 「フェイト」 「祭りの準備」

●第5回 「エリオとヴィヴィオ」 「えっちぃ」

●第6回 「エリオとなのは」 「朝チュン」

●第7回 「ライトニングヒーローとリリカルティアナ」 「事件ですよライトニングヒーロー」

●第8回 「ヴィヴィオとセイン」 「別れ話」

●第9回 「エリオとキャロ」 「麻雀」

●第10回 「カリム・グラシア」 「未来予想」

●第11回 「スバルとティアナ」 「雪」

●第12回 「リインフォース」 「酔った勢い」



第13回のお題 「スバルとフリード」 「ゲーム」



「ばか」      執筆:コン




 ―――きゅー、きゅっきゅー。





 機動六課のある休日。スバル・ナカジマとティアナ・ランスターが住む寮の一室は一触即発の緊張感に包まれていた。
 平和な一時を迎えているはずのこの部屋からは断続的な銃撃音と爆発音が鳴り響いている。更には剣戟の音まで混ざっており、聴く者が聴けば血相を変えるかもしれなかった。
 ―――だが、それら物騒な音が部屋から漏れ出ることは無かった。
 何故ならその音はSound Effect効果音だったからだ。
 部屋には一人の人間と一匹の竜がいる。彼らは(スバルが自費で購入した)大型テレビの画面を睨み、テレビと接続されたゲーム機から伸びるコントローラーを操作していた。

「うわ、また落とされたぁっ!? ちょ、ちょちょどうしてそんなに強いのフリード!?」
「きゅー!」

 可愛らしい勝利の雄叫びを上げながら手羽を掲げた竜はフリード。彼は召喚魔導師キャロ・ル・ルシエの使役竜である。本来は巨体の持ち主なのだが普段は小さくなって機動六課のマスコットをやっている。購買ではまこと密やかに『フリード饅頭』が売られていた。
 閑話休題。
 敗北のショックでフリードとゲームで対決していた少女、スバル・ナカジマはコントローラーを置いてその身を床に投げ出した。部屋着にしているTシャツが捲れ上がりちらりとおへそが露出する。フリードが手羽でそのお腹の窪みをくすぐると彼女は笑いながら身を捩った。

「あー、もう。まさかフリードがこんなに強いとは思わなかったなぁ。まあ、練習相手が欲しかったからいいんだけどさ。フリードもあの人と同じキャラクターを使うし。でも、びっくりだよ」
「きゅくー」

 フリードはスバルのおへそを弄っていた手羽をコントローラーに移すと、得意気にレバーを操作してみせる。方向キーではなくレバーである。―――そう、それは常なるコントローラーにあらず。ゲームセンターに挑戦する者達が買い自らの牙を研ぐための器具、アーケードコントローラー。
 一本のレバーと七つのボタンを持ったゲームセンター仕様のコントローラーなのである。

「……うん、フリードに勝てたらあの人にも勝てる気がするよ。よし、もう一回勝負だ!」
「きゅー!」

 がばりと身を起こしたスバルが再びコントローラーのレバーを握る。対するフリードもまた手羽をレバーに添えた。対戦条件の設定を終えゲームがスタートする。
 スバルに取ってのリベンジマッチ、フリードに取っての教導戦が始まった。





     ◇     ◇     ◇     ◇





 そもそもの発端は数週間前にスバルが目にした古びた広告だった。ふと通りかかったゲームセンターに張り出されていた宣伝ポスター。その広告に興味を示したスバルはゲームセンターに足を踏み入れたのだった。彼女の興味を引いたゲームの名は『魔法少女リリカルなのはA's - THE BATTLE OF ACES -』。ちっちゃ可愛いなのはさん達がポスターに描かれたそのゲームは彼女の興味を引いて余りあった。
 導かれるようにゲームセンターの隅に置いてあった目的の筐体を見つけ出すと自然な動作で百円玉――ワンプレイ百円だった――を投入する。操作説明を見るのもそこそこにキャラクター選択、もちろん高町なのは。そしてゲームスタート。
 最初は全く思うように操作できなかったが幸いにしてゲームセンター側が難易度を低く設定していたのか、千百円を投資したものの最終ステージまで到達した。エンディングが気になりながら対戦を進め、そしてあと少しという所で――乱入者が現れた。
 やや戸惑いながら乱入者と戦うスバル。コンティニューこそ何度かしたもののそれなりにキャラクターを動かせるようになっていた彼女はいくらかの自信を持って彼あるいは彼女との対戦に望んだ。負けるわけにはいかなかった。何故なら、自分はなのはさんを使っているのだから。
 勝負が始まる。相手は使用キャラクターにフェイト・テスタロッサを選んだようだ。ステージは海鳴臨海公園海上。因縁の予感がした。
 キャラクターそれぞれが戦闘前口上を述べるのに合わせて回転する画面を見た後、互いに戦闘機動を取る。
 スバルが使用する高町なのはは遠距離戦用キャラクターであり、移動と回避を繰り返しながらよろけ属性の誘導弾をばら撒く牽制、そして相手の硬直に合わせて叩き込む強制ダウン効果を持った高威力のバスターをメインに戦う。またリーチこそ短いが出が速く判定も強い格闘一段目の存在が接近戦闘時の対応能力の高さも示していた。この格闘の後にバックステップからバスターでダウンを取り逃げてもいいし、格闘一段→バックステップ→誘導弾を2セット半叩き込めるのでそちらでダメージを狙ってもいい。スバルは知らなかったが、高町なのははチートキャラの一人である。
 開始直後、対戦相手のフェイトはダッシュを用いて真っ直ぐに突っ込んで来た。スバルはあえてガン逃げはせず急接近してきた相手の格闘一段目に合わせて自分の格闘一段目を入力した。フェイトの格闘一段目は威力が大きい代わりに振りが大きく出が遅い。同じタイミングで格闘を入力すればなのはの方が速いことはアーケードモードで実証済みだった。
 格闘を当てた後に誘導弾のコンボを入れようとレバーを握る指に力を込めるスバル。だが、その操作が実を結ぶことは無かった。フェイトが攻撃モーションをキャンセルしてバックステップに入る。リーチの短いなのはの格闘は外れ、唖然としたスバルが立ち直る暇も無く改めてフェイトの格闘が叩き込まれる。慌てて回避動作を入力するも、遅かった。格闘コンボにより次々とライフポイントが刈り取られる。
 ダウンを取られた後、今度は遠距離戦闘を挑むが射撃は悉く回避されてしまう。おまけに、相手が硬直するタイミングを狙ってバスターを打つと逆にスバルの方が硬直を取られて射撃魔法を叩き込まれる始末だった。
 結局、一回も攻撃を当てられないままスバルは負けた。失意の彼女はゲームセンターを去ることとなる。
 実はフェイトは全ての動作のモーションや硬直が大きい代わりにその全てを任意のタイミングでステップやダッシュでキャンセルできるというこれまたチートキャラだったりするのだが、初めてこのゲームに触れたスバルがそれを知る由は無かった。CPUはキャンセルを使ってこないことも、対人戦闘の敗北に災いした。
 さておき。
 後日、スバルはこのアーケードゲームの家庭用が出ていたことを知る。その日が給料日だったこともあり、彼女はゲーム機本体とアーケードコントローラー二機と共にゲームソフトを購入したのだった。全ては、あの時のフェイト使いに勝つために……!
 しかし、すぐに問題が発生した。このゲームの家庭用版は最高難易度でもCPUの思考が甘いのだ。スバルは全ての有給を犠牲に最高難易度を軽々クリアできるレベルまで腕を上げたが、いざゲームセンターに向かってフェイト使いに挑むと瞬殺されて泣いて帰った。対戦相手が、それも強い対戦相手が必要となったのだ。
 スバルは周囲の人間に付き合ってくれるよう頼んだのだが、『ティア、私と付き合って!』と言うと何故か真っ赤になったティアナに殴られたし、『なのはさん、一緒にリリカルマジカルしましょう!』(ゲームソフトのパッケージに『君も一緒にリリカルマジカル!』と書かれていた)と迫るとなのはは『り、リリカルマジカルなんて恥ずかしいセリフ言ってないもん! 私、もう19歳なんだよ!?』と逃げられてしまった。フェイトさんは快く引き受けてくれたがスターライトブレイカーを使うとベッド下に逃亡してがたがた震えてしまうので申し訳ない気持ちになり、エリオはなのはやヴィータを使った時にローアングルから見える白いテクスチャーから目を逸らしてしまうので勝負にならない。困ったあげくキャロに相談を持ち掛けるとフリードを紹介される運びとなった。
 曰く、フリードは度々ゲームセンターに通っている、とのことだ。どうやらみんなが忙しく構ってもらえないためゲーセン通いで暇つぶしをしていたらしい。
 確かに手羽ならレバー操作は出来る。そしてキャラクターによってはボタン同時押しをさほど求められないこのゲームなら、手羽でもボタン操作が出来る。
 実際に彼の手羽捌きを見て感心しながら、スバルはフリードと特訓を始めるに到ったのだった。





     ◇     ◇     ◇     ◇





 そして翌週、フリードとの特訓を経たスバルは再びゲームセンターに足を踏み入れていた。喧騒を抜け、忘れられたようにぽつんと置かれた奥の筐体に向かう。そして、サイフから一つのケースを取り出した。それを筐体に置くと重々しい音が響く。そのケースには百枚の百円玉が詰め込まれていた。今日はあの人が現れるまで粘るつもりだった。アーケードモードを始める。使用キャラクターは当然高町なのは。
 順調に勝ち進み、最終ステージに突入する。この百円は無駄になってしまうのか? いいや、これでようやくアーケード版のエンディングを見れる。最後のステージをクリアする間際、そんなことを考えていると――乱入者が現れた。どきりとする。あの人だろうか?
 対戦開始に至る十数秒が非常に待ち長い。逸る動悸を深呼吸して落ち着かせる。――隣から漂う煙草の煙を吸い込んで、咽た。
 戦闘が始まる。果たして相手のキャラクターは――フェイトだ。
 来た、と思った。
 いいや、予感はしていた。何故ならば自分達以外にこのゲームをプレイしている人間を見たことは無く、購入した家庭用版もワゴン投売りの280円だったからだ。このゲームは古すぎた。実は既に『魔法少女リリカルなのはvivid ver.3』が稼動している。だがスバルのライバルはこのゲームにしか現れず、またスバルはこのプレイヤーとの決着を望んでいた。
 勝負が、始まる。
 そして―――。





     ◇     ◇     ◇     ◇





 機動六課隊舎、スバルとティアナの一室。そこではスバルが涙を流しながらレバーを弾く姿が認められた。
 スバルは負けた。完膚なく叩きのめされた。ソニックフォームを発動することでフェイトのモーションが完全に変化するだなんて知らなかった。
 フリードとの特訓で編み出したダッシュ格闘をキャンセルすることで発動するスライドバスターを使う暇すら無かった……!
 スバルはリベンジを誓ってゲームに没入しながら……ふと、思う。
 そういえば、あの人は一体誰なのだろう、と。




 ●



 感想などは 『魂の奥底から叫んでみよう!』 へどうぞー






「伝言ゲーム」     執筆:緑平和



「あれ……フリードー? こんなトコでなにしてるのー?」

 すっかり日も落ち、フォワード陣もオフシフトの時間帯となった機動六課。
 お風呂あがりのスバル・ナカジマは廊下をうろうろとしている小さな白竜の姿を見つけ、不思議そうに首を傾げた。

 フリードリヒ。

 機動六課の召喚魔導師キャロ・ル・ルシエの使役竜にして、大切な友人たる幼い竜だ。
 未だに肩乗りサイズと言った雰囲気のフリード。彼は何故かスバルの視線の先、機動六課の廊下を所在なげにうろうろと彷徨っていた。

 なんとも珍しい光景だ。基本的にキャロ、もしくはエリオと共にいることが多いフリードだ。
 偶さかに天気のいい日は屋外で空中散歩を楽しんでいるところを見かけるが、夜の隊舎で一人彷徨っている光景を見るとどうしても違和感を覚える。

 それに加え、やや俯き気味で、擬音を入れるなら「とぼとぼ」と言った雰囲気を醸し出したまま歩き回るフリードの姿はどう楽観的に見ても散歩を楽しんでいると言った雰囲気には見えない。
 故に、スバルがどうしたのかと声を掛けると、彼はその足を止め、潤んだ瞳でスバルを見上げる。

「きゅくー」
「え? いつもの待ち合わせ場所にキャロがこない?」

 フリードの切なげな泣き声に対し、瞬時に問い返すスバル。
 するとフリードが肯定の意を含め、激しく首を縦に振り始めた。

「そっかぁー。でも、お風呂にキャロはいなかったけどなぁ。ドコ行ったんだろ?」
「くきゅ、くきゅるー」
「ふんふん。一応お部屋も見てきたけど居なかったと。んーと、エリオはこの事知ってるの?」
「きゅくきゅく」
「えー。エリオも行方不明なんだ……ううむ、謎が謎を呼ぶねー」

「いや、なんであんたら会話が成立してんのよ」

 と、話を続けるスバルとフリードの背後から、第三者の呆れた声が響いてきた。

「ん? あれ? ティアー、どしたのー?」
「くきゅー?」
「いや、こっちがどうしたのって聞きたいわよ」

 スバルとフリードが不思議そうに視線を巡らせた先、スバルと同じくお風呂上りらしくTシャツにハーフパンツといったラフな格好のティアナ・ランスターがそこにいた。
 彼女はまるで信じられないものでも見たかのように、驚愕半分、呆れ半分といった様子でスバルたちを見詰めている。

「えーっと、なに? アンタ、フリードの言葉が解るの? なに、竜語とかあるの?」
「やだなぁ、何言ってるのティアー。そんなの解るわけないじゃーん。私はキャロみたいな召喚魔導師じゃないんだからさー」
「きゅきゅっ!?」

 スバルの言葉に、フリードが驚いていた。

「けどさ、ほら。動物とかって視線とかジェスチャーとかで何を伝えようとしているかなんとなく解るよね。あんな感じ感じ」
「ジェスチャー? 傍からさっきの会話を見てるとアンタのマジックポイント減らす踊りを踊っているようにしか見えなかったけど……?」
「きゅくー」

 ティアナの言葉に、フリードが力なく項垂れた。

「そんなことないよー。よく見てれば解るよ! それに、フリードは頭いいから、こっちの言いたい事解るもんねー?」
「きゅ、きゅくー?」

 フリードに同意を求めて「ねー」と声を掛けるが、なんと反応すべきか解らないのか言葉に詰まるフリード。

「確かに、今困っているようには見えるわね」
「違うよ! 今のは『そのとおりだね!』って同意してくれたんだよ!」
「きゅきゅっ!?」
「アンタが自分の都合のいいように解釈してるって事だけは解ったわ――ええと、それで、二人でなにしてるの。こんな廊下のど真ん中で?」

 と、逸れ掛けた話を元へと戻すティアナ。そこでスバルもようやく思い出したというように、掌を打ち合わせ。

「そうそう、キャロとエリオが二人で駆け落ちして行方が解らないんだって!」
「きゅ、きゅー!?」
「……とりあえず、チビ竜の反応でアンタがテキトー極まりない事を言ってるのは理解できたわ」

 本人に悪気は無いのだろうが、偶にその場の勢いで話のがスバルの悪い癖だ、とティアナは考える。
 そういった要因を差し引いて、現状から推理すると、

「キャロもエリオもいなくて、フリードは二人を探してたってトコかしら?」
「きゅ、きゅくるぅ…………」

 気付けば「今の説明でよく解ったなあ」と言いたげに感心の眼差しをティアナに送るフリードがいた。

「そうそう、それでティアは二人の事見てない?」
「さっきまでアンタと一緒に風呂に入っていたんだから知るわけないでしょ。思念通話は試してみたの?」
「んー…………二人とも切ってるみたいだねー。どーしたんだろ?」

 一瞬宙に視線を彷徨わせてから答えるスバル。どうやら試してみたが返答は返ってこなかったらしい。

「きゅ! きゅくきゅく!」

 と、スバルとティアナの足元でフリードがなにやらバサバサと羽ばたき始める。それを見たスバルはフリードの様子を見詰め「ふんふん」と頷き始めた。

「…………なに言ってるか解るの?」
「うん、えっとね……ティア、最近訓練がキツいからって甘いもの食べ始めたけど、その所為で二の腕が若干ぷにぷにに――」
「コイツか!? コイツが言ってるのか!?」
「くきゅー!? くきゅー!?」

 ティアナがフリードを指差し、抗議すると彼は慌てて首を横に振り始めた。

「ううんー。今のは私の感想ー。ほぅら、ぷにぷ――ぎゃぼ!!」

 ティアナの二の腕を揉み下そうと、手をわきわきさせながら近づくスバルだが、振り下ろされたティアナの鉄拳にあっさりと迎撃される。

「う、ううう……ティアいたいー」
「真面目にやりなさい。真面目に……ね?」

 あえて穏やかな笑みを浮かべてスバルを諭すティアナ。
 瞬間的に、スバルの表情を引き締まる。それはティアナが本気で怒りかけている時の前兆だと、誰よりも理解しているからだ。

「うー、そんなこと言っても難しいんだよ……えーっと、フリード。わんもあっ! わんもあぷりーっず!」

 そう懇願するスバルに、フリードは困った表情を浮かべながらも、一念発起と言った様子でジェスチャーで何事かを伝えようとする――が、

「どう見ても不思議な踊りよねぇ」

 しみじみ呟くティアナ。けれどスバルの方は真面目な様子のままで、

「ふん……ふんふん。えっと……『金髪』『巨乳』『執務官』……ああっ、フェイトさんの事だね!」
「どういうジェスチャーでそんな単語が……てかチビ竜……フェイト隊長のことそんな風に……」

 と、フリードに対して甘引きするティアナ。しかし、フリードは慌てた様子でジェスチャーを続け、

「えっと……うん、エリオのベッドの下? そこで見つけた?」
「……………………いやまぁ、うん。男の子だしね」

 何故か頬を赤くして、視線を逸らすティアナ。しかしスバルには意味が通じてない様子だ。

「えーっと……話を纏めるとぉ、フェイトさんにエリオのベッドの下を見てもらう?」
「うわあああああ、ちょ、そ、それはやめておいてあげた方がいいわよ!? いくらなんでも!?」

 擁護するつもりは無いが、流石にそこまで非人道的な事をするのはティアナとて気が引ける。

「つまり、フェイト隊長なら二人の行方を知ってるんじゃないかって事でしょ?」
「あ、なるほどぉー。ティアってばアッタマいいー」

 なぜだろう。激しくバカにされているような気がするのは。

「もういいわよ、こっちから連絡入れてみるから――――あ、フェイト隊長すみません――――」

 と、思念通話が繋がったのか、フェイトといくつか言葉を交わし合うティアナ。
 やがて、

「エリキャロはフェイトさんとこみたいよ。ライトニングチームで軽いミーティングしてるんだって」
「そっか、フリードー。ご主人様見つかったみたいだよー。よかったねー」
「きゅくるー」

 スバルに持ち上げられながらも、嬉しそうに翼を羽ばたかせるフリード。



 だが、彼女達は知らなかった。

 実はフリードが探していたのはキャロではなく(使役竜なのでどこにいるかぐらい余裕で解るそうだ)、
 ヴァイスに返して置いて欲しいとエリオに頼まれたものの、どこかで落としてしまった金髪執務官本だという事を。

 しかし、スバルに遊んでもらっているうちにすっかりその事を忘れてしまったフリードは、楽しそうにスバルの頭に乗って、ご主人様の元へと戻るのであった。
 人間と動物がそうそう意思疎通などできないという、そんな感じのお話。


 なお、廊下の片隅に落ちたままの金髪執務官本をヴィヴィオが拾い、また一悶着起きるのはまた別の話である。
 
 



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