魔法少女リリカルはやて テスタメント プロローグ
それはとおいむかしのお話です。
わたしたちのご先祖様は、えらい王さまの下でおわりのない戦いをずっと続けていました。
戦争という名前のまいにち。たくさんの王さまがしのぎを削り、たたかい続ける日々がそこにはありました。
たくさんのかなしい別れがありました。たくさんのさびしい思いがうまれました。
けど、ご先祖様達は王さまの為に、勇敢に戦いつづけました。
だけど、そんな毎日はえらい王さまが死んでしまったことで突然おわりをむかえます。
残されたご先祖様たちは、まるで追いたてられるようにふるさとを捨て、新しい安住の地を目指して旅立ちました。
そうして辿りついたのは、雪と氷に覆われたまっしろな大地。
そこはとても冷たくて、さびしい世界でした。
だから、ご先祖様達はその星に一本の大きな木を植える事にしました。
その名は『ユグドラシル』
たくさんの人達の希望を受けて、すくすくと育ったユグドラシルはその温かな輝きで、まっしろなこの世界をほんの少しだけ照らしてくれました。
そうして、ご先祖様達はこの地を『ニブルヘイム』と名付け、末永く暮らして行くことにしました。
ですがある日、悪い魔法つかいの手によってユグドラシルから温かな輝きが消えようとしました。
世界は再び、雪と氷に覆われ、この星に住む私達は寒さに凍えることしかできません。
しかしその時でした。
空から黒き羽を持った救世主さまが遣わされたのです。
幼き少女の御姿をした救世主さまはニブルヘイムの夜空を駆け、悪い魔法つかいを打ち倒しました。
そうして、ユグドラシルは再び温かな輝きを取り戻し、世界は平和になりました。
『ユグドラシル神話 新暦67年改訂版より抜粋』
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